出来ないと思う。

だって、その気が無いもの。

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ノルウェーの「クラスター」外交力 日本に真似できるか
2008/6/ 6
2008年5月30日、ダブリンでクラスター爆弾禁止条約が採択された。50年間、手つかずで、当初、不可能と思われていたこの条約をまとめあげたのは、ノルウェーである。

人口460万の小国は、これまでも、パレスチナスリランカグアテマラ紛争の和平交渉の仲介役として存在感を示してきた。ノルウェーが「仲介外交」に力を入れる理由を、この日のスタジオゲスト、東海大学の池上佳助准教授は「キリスト教に基づく人道主義、使命感と、ヨーロッパで繰り返された戦争に巻き込まれた辛い歴史」だと言う。ノルウェーのストーレ外相も「他の国に対する脅威が回りまわって我が国の脅威になることもある」と述べる。

巧妙な策「戦略的理由だ」
番組は禁止条約の立役者となったノルウェーのベテラン審議官の動きを追う。

交渉期限を1年余と区切って強い意志を示したノルウェーはまず、NGOと連携して国際世論の盛り上げを図る。爆弾による被害の実態調査に乗り出したNGOは、デモ、署名活動も進める。交渉開始から10か月で、交渉参加国は3倍近い138か国に増えた。

ついで、審議官は条約の核心ともいうべき、禁止するクラスター爆弾の定義づけに着手する。ここで彼は巧妙な策に出る。禁止の対象外とするタイプの記入欄を空白としたのだ。 「戦略的理由だ。例外を求める国があるなら、その国が理由を説明すべきだから」(審議官)

条約成立のカギは、例外規定を盛り込もうとする「抵抗派」、特に頭株と目されるイギリス、フランス、ドイツをいかに説得するかであった。いずれも、爆弾を大量に保有する国である。強い抵抗を崩さない3か国に対して、審議官は外務省だけでなく、国防省NGOのチャンネルを使って情報の収集に努める。

そして、条約締結の最終期限とした5月末まで1か月に迫った4月下旬、スタッフの1人から思いがけない情報がもたらされる。フランスの強硬姿勢は戦術で、抵抗派の代表とみなされることを避けたがっているというのだ。パリに飛んだ審議官は、仏外務省の軍縮担当者と長時間、協議し、2種類の新型を例外として認める代わりに、条約採択へ協力する約束をとりつける。

米露中の不参加と抑止効果
ドイツに対しては技術立国のプライドをくすぐる作戦に出る。「例外の基準を厳しくしてもクリアできるだろう」と迫ったのだ。頑固なドイツも協力姿勢に転ずる。残るイギリスには接触を避け、孤立させようと図る。したたかと言うか、巧みというか。やがて、イギリスのブラウン首相が、「クラスター爆弾の使用をすべて中止する」と発表して条約の採択は確実になる。態度を明らかにしなかった日本も賛成に回った。

審議官は「小国が国際社会と渡り合って行くには、外交に変わる武器はありません。相手を根気よく説得し、共通する利害を見出すことが重要です」と語る。

こうして、参加111か国、その保有するクラスター爆弾の99%が禁止される条約が結ばれはしたが、最初から参加していないアメリカ、ロシア、中国などが世界のクラスター爆弾の70%を保有している現実がある。

「条約がまとまったことで、大量に保有する国に使用を思いとどまらせる効果があるのではと期待されている」(国谷裕子キャスター)というが、果たしてどうか。

番組を重層的に見せようとするあまりか、審議官、外相、ゲストのコメントにややダブリ感のあるのが気になった。

アレマ

<メモ:クラスター爆弾
多数の『子爆弾』を飛散させて広範囲を破壊する空対地爆弾。セルビア紛争では29万発が投下され、10%が不発弾として残ったといわれる。禁止条約では、子爆弾が10個未満のもの、軍事目標を正確にとらえる機能を備えるもの、自爆装置など最新の機能がついたもの、が例外とされた。

NHKクローズアップ現代」2008年6月5日放送
http://www.j-cast.com/tv/2008/06/06021364.html
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クラスター爆弾の禁止条約を採択、日本含め全会一致
 【ダブリン=大内佐紀】クラスター(集束)爆弾の禁止を目指す、有志国約110か国による国際会議は30日、ダブリンで、クラスター爆弾の事実上の全面禁止を定めた条約案を全会一致で採択した。


 日本代表も会議の中で、条約への支持を表明した。オスロで12月3日に同条約の調印式が開かれる。条約は30か国の批准をもって発効、親爆弾から多数の子爆弾をまき散らし、子どもを含む民間人に多数の死傷者を出してきたクラスター爆弾の使用と製造が、締約国の間で即刻、禁止される。

 会議では、ドイツ、フランスなど、当初は部分禁止にとどめるよう求めてきた諸国が相次いで発言、調印式に出席し、可及的速やかに批准する意向を表明した。昨年2月に始まった、有志国と民間活動団体(NGO)が主導する国際軍縮交渉「オスロ・プロセス」は、来年中にも条約発効という形で結実する見通しだ。有志国・NGO主導の軍縮条約は、対人地雷全面禁止条約(99年3月発効)以来となる。

 ただ、条約交渉には、米国、中国、ロシアといった主要な製造・保有国は出席しておらず、条約に調印する見通しはない。NGO「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」によれば、世界で現在、クラスター爆弾保有するのは米中露を含む75か国で、うち29か国が製造もしている。同条約には、この75か国のうちの3分の2程度が加盟する見通しだ。

 条約は、目標識別能力と自爆装置が付いた最新型の一部を除く、あらゆるクラスター爆弾の使用・開発・製造を即時禁止し、8年以内に保有爆弾を廃棄することを定める。また、条約調印以前にクラスター爆弾を使用したことのある締約国に、不発弾除去に協力することを強く促す。

 ◆日本は4種類保持◆

 【ダブリン=大内佐紀】日本の中根猛・交渉代表(外務省軍縮不拡散・科学部長)は30日の会議で、「日本もコンセンサス(全会一致)に賛同する」と述べ、条約への支持を表明した。12月の調印式に参加するかは明言を避けたが、「日本の安全保障環境に留意しつつ、条約を慎重に検討し、適切な措置を取る」とした。

 日本が同条約の締約国となれば、陸上、航空両自衛隊保有する4種類のクラスター爆弾を8年以内に廃棄することが義務づけられる。防衛省によると、これまでの調達総額は約276億円という。

(2008年5月30日23時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080530-OYT1T00703.htm?from=top